「採用学」の視点で面接を考えてわかること。
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2017年08月26日更新
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「採用学」の視点で面接を考えてわかること。

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セミの鳴き声と共に、就活のゴングも鳴る。

こんにちは、iroots インターンのkaiです。8月終盤戦、今年も夏がやってきましたね。就活が終了した4年生は海に海外、花火に登山など「大学生最後の舞」を踊っているか、残単位の多い学生は卒業をかけた「最後の祈り」をしているか、僕の周りでも明暗が分かれるところです。
そして3年生の中には「就活の本格化」を肌身に感じ始めた人も多いのではないでしょうか?昨日まで隣で「テストまじやばい、、。」と言ってたあの子が「明日からサマーインターン辛いわぁ。」に変わる、そんな夏です。こうして就活のゴングが鳴る中、多くの就活生が頭を抱えるのが「面接」でしょう。日本の企業のほぼ全てが選考において面接を採用しており、サマーインターンの選考でも面接は欠かせません。
今回は、採用面接をテーマとして学生と企業が同じ立場で実験を行い「採用面接のメカニズム」に迫ってきました。

そう、学生達は採用面接に困っています。

ゼミナールの友人がこんな実体験を話していました。
企業の採用面接を数々経験する中で、事前準備を念入りに行い志望企業に合わせた志望動機や学生時代頑張ったことを述べ、気が付くと自分らしさの欠片もない就活をしていたと言います。また短い面接時間の中で、採用面接官は何を見ているのか、何が評価され・何が評価されないのか、そんな疑問を持っていた就活生は彼だけではありません。
私達が実際に18卒向けにインタビュー調査をしていると、面接に対する様々な疑問が噴出してきました。

面接に対する不満調査(一部抜粋)
インタビュー対象:2018年卒の大学生17名
・短時間の面接で、エピソードの深掘りをしてもらえませんでした。私の行動や心理の背景を聞いてもらえず残念でした。
・テレビ業界の面接で「話し方とか広告っぽいよね〜」と言われた。勝手なラベリングをされて不快でした。
・納得いかなかったのは、面接官の固定概念で自分の話を否定された時!否定じゃなくて、質問って形で話を深堀してもらえたら納得できたかなぁ。
・他人の個性を受け入れようとしない面接官がいました。私の好きなモノの話をしたが、「熱い思いは分かったから。」と自分が理解できないことはNG!って感じました。

しかし一方で、インタビューの中では面接を通して自分が認識していなかった自分を再認識することができたり、自分がその時点で言語化できていなかったことが言語化できたり、そんな前向きな経験も同じ採用面接を通して積んでいました。
学生が採用面接のどんなことに困っているのか、インタビュー結果を以下の3つに集約しました。
①10分で面接が終了するなど、極端に短い面接時間で自分の言いたいことを言えない。
②形式化されてしまった質問構成で、何が見られているのか分からない。
③フラットではなく、面接官の価値観が強い深堀り方で、自分への評価が決めつけられてしまった。

だったら、実際に比較実験してみましょう。

インタビューをしてみると、どうやら採用面接には疑問を感じた人もいれば、良い経験になったと感じている人もいるようです。
そこで僕たちは実際に面接の比較実験を行いました。具体的には『ある面接官と別の面接官とで、特定の人物に対する面接の評価がどのように異なるのか。』その結果をフラットに分析することで、面接における認知のプロセスがどのように構成されており、企業側はどのような意図でどんな面接を行っているのか議論を行いました。
登場人物は『横浜国大 服部ゼミ・株式会社ミクシィ現役人事・iroots中の人』です。

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服部ゼミの主要テーマは「採用学」。このゼミは、企業と個人を巡る様々な現象や関係性について、統計知識やインタビューを用いて分析・考察するようなプロジェクトをメインにしているゼミナールです。何を隠そうインターンのkaiもこのゼミに所属しています。

服部ゼミナールとは?→https://hatto-yasuyasu.jimdo.com/
そしてゲストとしてお呼びした株式会社ミクシィの人事担当者柴山さん。

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横浜国立大学経営学部を卒業後、新卒にて楽天株式会社に入社。新卒採用コミュニティサイト「みんなの就職活動日記」にて、コンサルティング営業としてのキャリアを積んだ後、人事として株式会社ミクシィに入社されています。現在は、新卒採用担当として採用現場に関わることはもちろんのこと、年間を通した採用戦略の策定や企画実行など様々な業務に携われています。柴山さんの丁寧な面接がありのままの学生の姿を導き出せる方ということで服部ゼミからお願いして今回の実験にぴったりのゲストとしてご招待させていただきました。

株式会社ミクシィ 新卒採用サイトURL→https://fresh.mixi.co.jp//
今回の実験では合否を出すことではなく、面接でのやり取りを通して、よりその人の特徴を引き出し・理解することを目的としています。比較実験は以下のイメージの元、行いました。
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比較軸=『学生面接官の面接と柴山さんの面接』
つまりこの比較実験では、現役で人事部門で働かれており何度も採用面接を経験されている玄人人事と就活生として多くの面接を受けたものの、面接官としての経験はない学生人事での面接を比較しています。また個人の特性を見る上で参考指標となるよう、学生には3Eテストを受験してもらっています。
*3Eテストとは、エン・ジャパン株式会社が提供する適性検査。

玄人人事と学生人事の面接におけるアプローチを比較してみる

面接同士を比較するにあたり、先ほど紹介した学生が面接を通して感じた不完全燃焼の要因に沿って、比較を行いたいと思います。
こちらの3つの項目です。
①10分で面接が終了するなど、極端に短い面接時間で自分の言いたいことを言えない。
②形式化されてしまった質問構成で、何が見られているのか分からない。
③フラットではなく、面接官の価値観が強い深堀り方で、自分への評価が決めつけられてしまった。
すると、以下のような共通点・相違点が発見されました。

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柴山さんは学生と面談する際、いつも「過去と現在、そして未来の一本の線」を見るようにしていると言います。したがって常に、どんな活動に力を入れてきたのか、何を課題に感じて、どんな要因でモチベーションを感じたのか、行動と、その前後の思考プロセスを見るようにしているようです。例えば、留学という大学生にとっては切れ味抜群の懐刀を持っていたとしても、留学していた事実のみで評価につながるとは限りません。柴山さんは、留学にいった背景や理由について注目し、その人がなぜ留学に行こうと志し、実際に行動に移し、何を持ち帰ったのか、このプロセスにこそ「その人らしさ」が現れると柴山さんは言っています。

学生面接官側でも、基本スタンスは同じです。「WHEN」で学生がどのような活動に力を入れたのか具体的に聞き、「HOW」にてその活動から、どんな事象を課題に感じどのような行動に出たのかを聞きます。そして「WHY」でその行動パターンになった理由やバッググラウンド、その人らしさを生み出している経験に迫るように質問を構成しました。

面接後のフリーディスカッションで、盛んに話題に上がっていたのは「3.フラットな深堀り」についてです。この項目については、学生面接官によって行われた面接と柴山さんによって行われた面接に違いが見られました。
この違いについて考察するために、面接における二つの違いを紹介したいと思います。
1点目は空気感の違いです。
柴山さんの面接では、学生が話しやすい空気感が自然と作り出されていました。学生が話し終えると「へぇ!そうなんや、なるほどねぇ!」と柴山さんならではのノリのいい関西弁での相槌が入ります。また随所に現れた「共感ワード」も、まさに面接の妙だと言えるでしょう。横浜国大出身の柴山さんは大学周辺の「ワダワラ(和田町駅にある笑笑という居酒屋)」というワードを出すことで、初対面の学生と心理的な距離感を縮め、学生の懐に入り込んでいました。学生側はいつの間にか、面接での緊張が解けて自分でも気にかけていなかった経験やエピソードを話していたと言います。
一方で、学生面接官の方は、前者と比較するとかなり緊張感の高い、ある意味では圧迫面接と言えるような、対照的な面談の空気感でした。学生側も、比較的決まった型で答えるような面接だったと言います。
2点目の違いは「評価指標の有無」です。
柴山さんは面談の時、話しやすい雰囲気のもと柔軟に話を振ることで相手学生を様々な角度から深堀るようにしていました。いわば、「柔軟にその人らしさを知りにいく」面接だと言えます。一方で、学生面接官は事前に評価指標を用意し、学生の行動を一定の指標を用いて深堀るようにしていました。例えば、個人の課題への取り組み方については「マーケットインタイプ」と「プロダクトアウトタイプ」、そして組織での立ち位置については「リーダータイプ」と「フォロータイプ」。この指標に個人がどのように当てはまるのかを見ていました。こちらはいわば、「指標を持ってその人らしさを知りにいく」面接だと言えます。学生面接官は自分たちの指標に合うように学生に質問を構成していたので、一定の範囲内で学生を深く知ることはできましたが柔軟性が失われ、堅い雰囲気の面談になったことが予想されます。

考察をさらに深めるために、、、

「柔軟にそのひとらしさを知りにいく面接」と「指標を持ってその人らしさを知りにいく面接」。この違いがどうやら学生をフラットに面接する上では、ポイントになりそうです。
考察をさらに深めるために、面接そのものの3つの目的と2つの種類=モードについてそれぞれ、服部准教授とiroots中の人である小笠原さんが解説しています。
企業が学生を採用の現場で見るとき、面談や面接には大きく3つの機能があると服部准教授は述べます。
それが、①「知る・発掘する」②「測る」③「惹きつける」です。一つ目の「知る、発掘する」とは多方面からの質問、そして回答を得ることによって目の前の学生が何に感動し、何に怒りを感じ、どのように行動する人なのか、まさに目の前の学生を知りに行くという意味です。二つ目の「測る」とは、文字通り目の前の学生が企業の設定するスキル面やマインド面などにおいて、一定の基準を満たしているかどうかを測るという意味です。三つ目の「惹きつける」とは、採用面接において自社への気持ちを引き出すという意味であり、学生から企業への情緒的なコミットメントを引き上げるような意味合いがあります。

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次に、面接には大きく分けて二つの種類があると小笠原さんは紹介しています。
それが①「仮説発見型面接」と②「仮説検証型面接」です。「仮説発見型面接」とはあらかじめ評価指標を作成するわけではありません。したがって、面接を通じて相手の学生を体系的に理解し、仮説をその都度発見しながら面接するような面接方式と言えます。一方で、「仮説検証型面接」とは、事前に作成した評価指標に基づいて学生を評価するような面接です。したがって、面接を通じて自分たちの仮説を検証するような面接方式と言えます。 上記の、面接のモードと目的に当てはめて考えてみると、柴山さんの面談は「仮説発見型」×「知る・発掘する」タイプに近い面接だと言えます。また学生面接官の面談は「仮説検証型」×「測る」タイプに近い面接だと言えます。

採用面接のメカニズムを知ると、ワンランク上の就活が見える?

これまで、インタビュー調査や実際に比較実験を行うことで、「採用面接のメカニズム」に迫ってきました。
採用に関しては、これまでも多くの研究が行われ、近年「面接」という方法にも科学的なアプローチが増えてきました。例えば、去年アメリカのテンプル大学で行われた研究では、採用時の面接の種類と入社後の仕事業績との関係に着目されたものがあります。「Structured interview」=決まった質問事項と評価指標を持つタイプ(上記の仮説検証型)or「Unstructured interview」=固定していない質問事項で会話ベースのタイプ(上記の仮説発見型)、どちらがより仕事業績を正確に予測するのか統計的に調査され、「Structured interview」の方がわずかながら仕事業績予測において有効であることが判明しました。
しかし、日本での採用をめぐっては欧米とは状況が異なります。日本において伝統的に用いられてきた採用手法は「総合職採用」と呼ばれ、欧米の採用のような専門的なポジショニング採用とは異なります。総合職採用では、どのポジションに配属しても高いパフォーマンスを発揮するような学生を予測して採用することになります。予測して採用するためには、目の前の学生のポテンシャルを「知り」企業独自の評価指標で「測り」自社に「引き込む」必要があるため、面接の目的も3つの方向に分化したのではないでしょうか。
そして今回の比較実験を見てみると、面接の「目的」と「モード」によって面接の有効性が変わることがわかりました。日本のように、面接において「知る」目的と「測る」目的が存在する場合には、柴山さんの面接のような「仮説発見型」モードは知る目的において、学生面接官の「仮説検証型」モードは測る目的において、有効性が上がるようです。

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では、この面接メカニズムを理解した上で学生はどのように面接に臨むべきなのでしょうか。
ここではiroots流、ワンランク上の就活生の面接の受け方サイクルを紹介したいと思います。

iroots流 面接の受け方サイクル
1.「ありのまま」の自分で面接に臨む。
2.面接メカニズムを理解した上で、面接している自分を「メタ認知」する。
3.メタ認知した自分を「言語化」する。

企業側は採用面接を通して学生を「予測し、採用する=知って、測って、引き出す」と先ほど述べました。
それではなぜ、「ありのまま」が大切なのか。採用担当者の面接の最初のステップがあなたのありのままを知ることだからです。面接官を適切にリードしましょう。いつ、いかなる時も「ありのまま」に臨みましょう。相手はまずあなたを「知る」ために面接しているだけなのですから。

「ありのまま」とは何も準備せず面接官と話す事ではありません。「ありのまま」を相手が知るには時間がどうしてもかかります。面接をタイムアウトさせてはいけません。繰り返しになりますが、あなたが面接をリードする必要があります。事前準備として自分自身を「メタ認知」しておきましょう。「メタ認知」とは、自分の行動や思考そのものを対象として、まるで第三者もしくは面接官かのように客観的に把握し認識することです。

次にメタ認知した自分を面接官に伝える為に「言語化」しましょう。言語化されたものを相手が評価しているか否かはどうしても気になるでしょう。でもまずは評価されているかよりも正しく伝わっているかに集中して検証しましょう。評価を気にしすぎると「ありのまま」という一番重要な要素が崩壊する可能性が高まります。まず正確に伝える事。面接官の表情やその時の言葉、状況を客観的に振り返ってみてください。その振り返りから伝わった事、伝えられなかった事を検証し、再度適切に言語化を修正する。このサイクルを繰り返すことで面接を経る毎に自己のメタ認知が深まり、言語化が上達するでしょう。そして結果として、自分自身が納得して選考に臨む土台が確立します。

人事視点で面接を考える取り組みいかがでしたでしょうか。相手を知る事が自分を知る事につながります。大学三年生の方は是非これからの面接の参考にして見てください。

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