【就活で活きる!】財務諸表から読み解く企業研究(実践編)-ソフトバンクを研究してみよう-
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2017年10月05日更新
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【就活で活きる!】財務諸表から読み解く企業研究(実践編)-ソフトバンクを研究してみよう-

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はじめに

就活生にとって決算説明会を聞いたり決算短信を読むことで、短期間でその企業の強み課題今後の戦略など数字をベースに理解すること、「投資家の視点で企業や業界の研究ができる」ことなどができます。
その企業の経営状況を見ることにより、企業やその企業が属する業界が成長しているのか、あるいは変化を迫られているのか動向を探ることができます。
というわけで今回は、年々目覚ましい成長を遂げ、日本最大級の企業になった ソフトバンク株式会社 を例にして、実際に決算短信を読んでいきましょう。

全体から動向を探る


決算短信やアニュアルレポートなどを見る際、事業ごとではなく、まずは全体から見ていきましょう。
全体を見ることによってその業界、企業がどうなっているのか認識することができます。 「木を見て森を見ず」状態にはならないようにしましょう。


出典: 業界動向search.com


まずは業界全体の動向を見ていきます。上記図によると、毎年増加傾向にあり、特に平成24年から26年にかけて成長が加速しています。現在はその加速度が少し伸び悩み、微増していると予測できます。今後も安定的な成長をしていくと思われるので引き続き注目していきたいです。


出典: 業界動向search.com


次に通信業界上位3社の売上高ランキングを見ていきます。 NTT , KDDI がほとんど横ばいなのに対し、 ソフトバンク株式会社 は増加していることが読み取れます。ソフトバンクが現在、競合他社に比べて好調な業績を残しているのがわかりますね。


出典: ソフトバンク2018年3月期決算説明会資料


今度は ソフトバンク株式会社 に絞って見ていきます。 ソフトバンク株式会社 の決算説明会資料を見ていきましょう。


▼この数字から読み取れること
1)「売上高」、「※調整後EBITDA」、「営業利益」が前年と比べて増加している
2)「当期純利益」が大幅に減少している
3)「売上高」の伸び率よりも、「営業利益」の伸び率が高い

▼この数字から考えられる仮説
1)営業利益は増加し続けているので、現在の事業に関しては成長軌道である
2)営業利益より当期純利益が減少しているので、今期、積極的な投資をしている可能性がある
3)もしくは、昨年の数値が異常値である

孫社長は去年の当期純利益が大きかった理由として、
“昨年、armを買収するための資金を準備するためにアリババの株を売った。これのための会計処理がなければ前年比61%増である。”
(出典: ソフトバンク2018年3月期第一四半期説明会

と述べています。 したがって、仮説3)が正しく、最初から予測されていた数字だったことがわかります。営業利益が増加し続けているので、非常に大きな将来性があることが予測できます。 また、当期純利益が前年との差が激しいことから、 ソフトバンク株式会社 が投資活動に積極的であることがわかりました。

各勘定科目(損益計算書などを作成する際の項目)の解説についてはをご覧ください。

※EBITDAとは、
“企業価値評価の指標で、利払い前・税引き前・減価償却前利益(Earnings before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)のこと。簡便には営業利益に減価償却費を加えて計算する。
会計上の利益である純利益に関係する税率や、借入金利、減価償却費の扱いは国によって異なるため、国際的な企業価値を比較したり評価したりする場合、こうした違いを最小限に抑えた控除前の利益であるEBITDAが有用な指標として利用される。
1年間の営業キャッシュフローに相当するので、EV(時価総額からネットキャッシュを差し引いた企業価値)をこれで割った値(EV÷EBITDA)はEV/EBITDA倍率と呼び、M&A(企業の合併・買収)における評価指標として使われる。負債を含む企業の完全買収コストの回収にかかる年数を示し、値が小さいほど割安と評価する。”
(出典: 野村証券証券用語解説集

個別に見ていく


 全体で大まかな動向を確認した後は個別で見ていくことが大事です。どの事業が伸びていてどの事業が伸び悩んでいるのかしっかりと確認しましょう。各事業の好不況は業界全体の動向に左右されることも多いので、各事業の発展度合いの確認は業界分析や競合分析の際にも役に立ちます。ここでは各事業の売上と営業利益についてみていきます。


出典: ソフトバンク2018年3月期決算説明会資料



出典: ソフトバンク2018年3月期決算説明会資料


(1)増加項目


売上、営業利益とも増加している項目としては ヤフー株式会社 、スプリントが挙げられます。
ヤフー株式会社 に関しては検索連動型広告、ディスプレイ広告、Yahooショッピングの伸びが好調の要因とされています。
営業利益の図において目を見張るのはスプリントの急激な増加ですね。 売上の好調+コスト削減がスプリントの営業利益の大幅な増加につながっています。 平均ダウンロード速度の改善がユーザーから評価されたことによる売り上げの増加と、コストの大幅な削減が事業成長の要因であると予測できます。
スプリントの好調に対し孫社長は、
“十分に自信ができた。売上高がずっと下がり続けたのが、底を打って反転してきている。経費はまだまだ下げられる。 ソフトバンクグループに入って、調整後EBITDAは倍増できた。営業利益は前年対比で3倍にした。”
(出典: ソフトバンク2018年3月期第一四半期説明会

と述べています。スプリント買収の際は多くの株主に反対されていましたが、ここにきてスプリントが好調になってきました。孫社長の先見の明が光る形となりましたね。

また売上高の新項目にArmが入っていますが、Armに関しては昨年買収したため、今年から ソフトバンク株式会社 の売上構成に加わる形で入っています。


出典: ソフトバンク2018年3月期決算説明会資料


ArmはマイクロプロセッサーNo.1の企業であり、様々なIoT製品に組み込まれています。孫社長はArmに関して、
“私の念願の会社であり、17歳の時から恋い焦がれた、今、マイクロプロセッサーNo.1の企業であるアーム。売上高は2%増、出荷されているチップの数は28%増加している。”
(出典: ソフトバンク2018年3月期第一四半期説明会

と述べています。今後IoTが社会に浸透してくるとされている中で、Armの活躍が非常に楽しみになってきますね。


出典: ソフトバンク2018年3月期決算説明会資料


営業利益の図において新たに出現した項目としてSVF事業があります。SVFとはSoftbank Vision Fundの略で、 ソフトバンク株式会社 が将来性があると判断したベンチャー企業が成長した評価益となっています。その中でも現在特に注目されているのが、「wework」というシェアリングオフィス事業を展開している企業への投資で、 ソフトバンク株式会社 と「wework」が合同で、「WeWork Japan」を設立しています。 このように、 ソフトバンク株式会社 は海外を中心とした多くのベンチャー企業に投資しており、世界規模でのベンチャーキャピタルを目指しています。

(2)減少項目


売上、営業利益ともに減少している項目として国内通信事業、流通が挙げられます。
国内通信事業の減少に関しては、以前はスマートフォンの普及と共に通信インフラも拡大し成長していましたが、近年の※MVNOの進出による競争激化が、国内通信事業の停滞の要因となっていると考えられます。
このような周辺環境の変化に対して ソフトバンク株式会社 も既に手を打っています。実際にSoftBankの累計契約数は前年比79%も増加し、解約率も大幅に減少しています。 また、他分野に積極的に投資していくことで別領域とのシナジーも狙っています。

営業利益において減少している項目として、Armが挙げられます。
Armに関しては将来への投資が現在の利益減少につながっているものと思われます。
実際に孫社長も、Armに関して
“今はむしろ先行投資の時期であり、アームは工場を持たないので、最大の投資はエンジニア。その先行投資として、とくに技術関連の従業員数は前年対比で25%増えており、相当いける。”
(出典: ソフトバンク2018年3月期第一四半期説明会

と述べています。
非常に将来が楽しみな分野であるので、 引き続き動向を注視して今後どうなるか見ていきたいですね。

※MVNOとは、
“無線通信回線設備を開設・運用せずに、自社ブランドで携帯電話やPHSなどの移動体通信サービスを行う事業者のことである。通信サービスの提供には移動体通信事業者(MNO)の卸売をうけたり、仮想移動体サービス提供者(MVNE)の機能を利用したりする。”
(出典: ウィキペディア

先を見続けるということ


財務諸表や決算短信などを分析することによって目先の利益に捉われるのではなく、将来に渡って現在の事業が成長し続けられるかどうか分析することができます。
会社説明会では企業のいい部分しか伝えないため、自分の力で数字を分析することが大事になっています。

みなさんは将来をどのように捉えていますか?自分のキャリアの方向性を定められていますか?
「2018年3月期第一四半期決算説明会」において孫社長は、
“19歳の時に人生50ヵ年計画を立ててから今までそれを貫いてきた。 20代、名乗りを上げる。30代、軍資金を貯める。40代、一勝負する。50代でビジネスモデルをある程度作り上げる。60代で継承する。”
(出典: ソフトバンク2018年3月期第一四半期説明会

と発言しています。19歳で打ち立てた道を着実に歩んでいることには感服せざるをえません。 また、この10年以内に決まるであろう後継者にも非常に注目です。

就活においても10年後、20年後の世の中はどうなっているのか、 また、自分はどうなっていたいかざっくりと決めていくことは非常に大切です。
もちろん世の中は常に変化し続けるので完璧に予測することはできません。
しかし、「自分がどういう存在になりたいか」「世の中にどう影響を与えたいか」といったようなことは今までの人生を振り返ると、少し見えてくるはずなのでざっくりと考えておくことが大切です。

孫社長も19歳の時に計画を立て、それに向けて1日1日を大切にしてきたことが今に繋がっています。
私たちも、将来を自分なりに予測し、将来に渡って事業が成長する分野に身を置き、その事業を加速させていくことで自分自身も成長していきたいですね。

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