株式会社東洋経済新報社の戦略・強み・弱み・競合他社情報│企業研究記事

『週刊東洋経済』などのビジネス・経済誌で長い間業界をリードする存在で、最近ではWebメディア『東洋経済オンライン』の成長も目覚ましい出版業界の東洋経済新報社に関して、戦略・強み・弱み・競合他社について就職活動の観点から企業研究しました。

下記４つのトピックに分けてご紹介します。

◆ TOPIC
• 紙媒体はピークの6割 電子書籍市場は前年比27%増の成長
• 『週刊東洋経済』をはじめとする雑誌事業の過渡期 売上確保が大きな課題に
• 月間2億6,000万PVの『東洋経済オンライン』がこれからの事業の柱の1つに
• 東洋経済新報社の戦略・強み・弱み・競合他社のまとめ

東洋経済新報社の年収・インターン・選考/採用情報はこちらの記事へ
東洋経済新報社の属する出版業界は1996年の販売額2兆6,564億円（雑誌・書籍合計）をピークに、紙媒体の売り上げは減少の一途をたどっています。2016年には計1兆4,709億円とピーク時の6割程度まで市場規模が縮小し、厳しい状況が続いているのが実態です。

この状況に対し、出版業界はさまざまな取り組みで生き残りをかけています。

まず紙媒体においては、返品率の低減が課題の1つとしてあげられます。通常書店で取り扱われる書籍は出版社からの委託販売で、書店で売れ残った場合には出版社への返品をする仕組みとなっているのです。

現状は書店に送った書籍の4割が返品されており、売り上げが低下している業界全体にとって、輸送や在庫管理におけるコストの削減が非常に重要なのです。

一方、電子書籍市場は好調の様子。2016年の売り上げ規模は1,909億円と紙媒体に比べて小さな市場ではあるものの、成長率は前年比27%と成っており、今後の成長も期待されます。

加えて、出版社ではWebメディアの運営が一般的になっています。これは東洋経済新報社が手掛けるビジネス誌、経済誌の分野も例外ではありません。今や各社とも、新しい収益の創出、マーケティングへの活用などにおいて重要な位置付けの事業となっています。

競合他社としては、 講談社、産業経済新聞社が挙げられます。 次に東洋経済新報社の経営状況を見ていきましょう。

主な事業としては下記の内容が挙げられます。

（1）デジタルメディア事業
『東洋経済オンライン』をはじめとするWebメディア運営や、Web広告、電子書籍・雑誌の開発 など

（2）雑誌事業
明治時代からの東洋経済新報社の看板雑誌でもある『週刊東洋経済』や、株式投資のための上場企業情報をとその分析などを掲載する『会社四季報』 など

（3）書籍事業
経済誌の出版社として専門書、ビジネス系の書籍はもちろんの事一般向けの本に至るまで幅広い書籍を年間200冊ほど手掛けている

その他にもプロモーション事業やデータ事業なども手がけています。

看板雑誌である『週刊東洋経済』の存在と、その信頼やノウハウを生かしてのデジタルメディア事業やプロモーション事業の展開が可能である点は同社の強みと言えます。

一方で、前項でも業界のトレンドをご紹介した通り、東洋経済新報社においても主要事業である紙媒体は厳しい状況に置かれています。特に直近の平成29年9月期決算では、これまで事業を牽引してきた雑誌事業の売上が書籍売上を下回ったことは、象徴的な出来事とも言えます。

業界全体に言えることですが、このトレンドは弱みとなっている部分です。

現在は経済やビジネスに特化し、より読者の関心を魅きつける企画を試みたり、SNSを活用したプロモーションを展開したり、厳しいながらも売上確保のための取り組みを行っています。
　　　 最後に東洋経済新報社の成長戦略について見ていきましょう。

紙媒体のニーズが減るなか、同社の事業で成長を特に期待されているのがデジタルメディア事業領域のWebメディア『東洋経済オンライン』です。

既にその成長は著しく、2017年10月には月間プレビュー数が2億6,000万に達するほど。ビジネス・経済誌分野のWebメディアでは圧倒的な存在となっています。記事は全て無料で読むことができ、主に広告収入で売り上げを確保する仕組みです。

プレビュー数を伸ばすための工夫が非常に幅広く、雑誌事業と連携しての記事掲載に始まり、データに基づくインターネット上でヒットするためのタイトル付けを徹底して行うなどの取り組みが、メディア初期からの成長を支えています。

また、他のWebメディアの相互で記事を転載し合うという取り組みもしており、より拡散されるように工夫もしているそうで、今後もさらなる成長が期待されています。

出版業界の東洋経済新報社は、『週刊東洋経済』を中心にビジネス・経済誌に強みがあり、他の事業にもその信頼やノウハウを活かしています。一�