東芝の企業研究

今回ご紹介するのは、明治8年の創業以来、モノづくり日本を代表する電機メーカーとして、世界初、世界最速、世界最小など、多数のオンリーワンを創出してきた企業。また、半導体メーカーとしては国内最大手で有名な東芝。

この記事を読んでいる方の中には、東芝への就職を目指している学生もいらっしゃるかもしれません。
面接で問われた時に、「なぜこの会社なのか？」をしっかりと語れるように、この記事では、以下の3つの項目から企業研究を行っていきます。

（1）会社概要　（2）「企業」を知る　（3）「採用情報」を知る

他のライバルとの差を付けるためにも、この記事を読んでしっかりと企業研究をしていきましょう。 ここでは、東芝の経営理念や同じ電気機器業界に属する競合会社との比較、最近のニュースなどを通じて、「数ある電気機器会社の中で、なぜ東芝なのか？」という質問への対策を考えましょう。

東芝について深く知るために、まずは東芝の経営理念を確認しましょう。そこから東芝が求める人材が見えてくるはずです。企業が求める人材を知ることで、あなたが何をアピールすべきかが分かります。

東芝のグループ経営理念は、以下の通り。
『人と、地球の、明日のために。東芝グループは、人間尊重を基本として、豊かな価値を創造し、世界の人々の生活・文化に貢献する企業集団をめざします。』
（出典： 東芝　グループ経営理念 ）

ここからわかるポイントは、世界の人々の暮らしを豊かにする新たな価値を提供していこうという志です。そのため、東芝では多様性を重んじ、さまざまな個性を歓迎していますが、共通点をあげるのであれば「チャレンジ精神と変革意欲に満ち、創造力に富んだ人材」「自分の考えを自分の言葉で論理的に相手に伝え、納得させられる人材」「将来のキャリアビジョンを描ける人材」「グローバル市場で活躍できる人材」を求めています。

ですから、経営理念に共感した上で、みなさんがアピールすべきなのは以下の4点です。
・東芝を通して、創造したい新たな価値について
・現状に満足せず、新たな領域にチャレンジした経験
・チームワークを発揮することで、何かを成し遂げた経験
・グローバル市場で活かせる、自分の個性やスキル

次に、電気機器業界における競合会社と比較してみましょう。
今回は、パナソニックと比較してみたいと思います。両社の間には、どのような違いがあるのでしょうか。

まず事業内容についてみ見ましょう。
東芝は、世界中に様々な製品やサービスを提供する複合的な電機メーカー。主な事業は「エネルギーシステムソリューション」「インフラシステムソリューション」「ストレージ＆デバイスソリューション」「インダストリアルICTソリューション」の4つで、カンパニー制による事業を展開。さらに平成28年4月の事業体制見直しで、これら4つのカンパニーに加え、「リテール＆プリンティングソリューション」が加わりました。

対するパナソニックでも社内カンパニー制を採用しており、「アプライアンス」「エコソリューションズ」「AVCネットワークス」「オートモーティブ＆インダストリアルシステムズ」の4社で構成されています。総合エレクトロニクスメーカーとして、グローバルに生産・販売・サービスを展開しており、近年は家電に加え車載や住宅、B2B事業に注力する方向転換を行っています。
次に財務状況を比較してみます。平成28年3月期の業績を見てみましょう。
東芝の売上高が連結5兆6,687億円のところ、パナソニックは連結7兆5,537億円と上回っています。
当期の東芝グループは、「電力・社会インフラ部門」、「コミュニティ・ソリューション部門」においては増収でしたが、「ライフスタイル部門」の大幅な減収や「電子デバイス部門」が売価ダウン等の影響を受け前期比4,460億円の大幅な減収となっています。

また、営業利益は、パナソニックが連結5兆3,400億円であるのに対し、東芝は連結 7,087億円の損失を計上。しかしながら、続く平成28年4～9月期は300億円の黒字に転じており、その背景にはハードディスク駆動装置（HDD）の販売が好調だったことが挙げられています。

続いて昨今の戦略を見ていきましょう。
東芝は平成27年に不正会計が発覚後、平成28年3月期は約4,600億円の赤字を計上する状況となり、子会社である東芝ライフスタイルの白物家電事業を中国のマイディアグループに売却するという結果に陥りました。
幸い、今後も今まで同様、東芝ライフスタイルが東芝のブランドやロゴをはじめ、ブランドイメージや品質基準、カスタマーサービス等についても維持・管理していく方針で、開発製造に携わるグループ各社の組織体制や商流・サービス体制にも変化はないとのこと。

また、この戦略的パートナシップは、東芝が長年に渡って築き上げてきたブランドや人材、技術力等の特徴を保持していく一方で、マイディアグループのグローバルネットワークや製品開発力、品質等の強みを活かしていくことができる等の高いメリットがあり、短期的には調達コストの削減が期待されています。
さらに将来的には、東芝ブランドとして進出ができなかった海外各地への進出も描かれており、マイディアグループのアライアンスを利用し、東芝の白物家電をグローバルに展開していく大きなチャンスをつかんだと言えるでしょう。今後の東芝の巻き返しに注目したいところです。



また、近年の業界トレンドも見ておきましょう。
日本の大手電機メーカーとして初の外資系企業の傘下に入ったシャープ。同社を買収した鴻海精密工業は、シャープのブランド力と技術力を武器にグローバル市場における更なる躍進を目指しています。その主たる市場は「有機エレクトロ・ルミネッセンス（EL）」で、ジャパンディスプレイや韓国企業等の競合がひしめく市場となっており、今後の健闘が注目されています。
このように、新たな経営環境下に置かれた東芝やシャープの影響で、日本向けの製品開発が活発化されることも予想されています。
近年の日本の白物家電メーカーの動向では、複数の製品を組み合わせたり、様々なサービスと連携するとともに、ライフスタイル提案を重きに置く傾向に。その背景にはIoT時代に合わせたネットワーク、クラウド、ビッグデータ等の最新技術を活用した家電製品の創出意欲がうかがい知れるようです。

また、東芝の競合他社としては、ソニー、シャープ、日立製作所、三菱電機が挙げられます。

ここまで東芝についての様々な情報を見てきましたが、最後は同社の過去の採用情報を知り、早めの対策準備を行っていきましょう。 選考フロー